引用元:おーぷん2ちゃんねる百物語2015 本スレ

28: 宵待草@代理投稿◆zGmkUMDv/mqt 2015/02/14(土)19:54:58 ID:nGv
「お久しぶりです!」
唐突に掛けられた声に振り向いたが、後ろに立っていたのは全く知らない男性だった
……ああ、自分が呼び止められたわけじゃなかったのか。勘違いして恥ずかしいな
そう思って足早にその場を立ち去ろうとすると、
「ちょ、ちょっと!××さん!」
……慌てた声で、呼ばれた名前は自分の名前だった

えぇ?確かに自分は人の顔覚えるのは苦手だけど……
訝しげな自分に、その男性も首を傾げ、
「もしかして、オレのこと忘れてます?○○って言うんですけど……」
聞き覚えの無い名前。
顔を覚えるのは苦手でも、一度聞いた名前はそうそう忘れないハズなんだけどなあ
「えっ、えっ、だって3ヶ月前に会ったじゃないですか。仕事の席で……△△って場所で……オレは上司の□□さんと一緒で、そちらは◇◇さんと一緒だったでしょ」
◇◇は確かに自分の上司だけど、そもそも一緒に仕事したことは無かったような……?
でもやけにリアルな説明だった。
時間は何時で、天気はこんな感じだったとまで言い募る様子は、嘘に見えない
記憶になくても容易に想像がつく説明に、
次第に自分でも「そんなことがあったのかな」と言う気になってくる
でも、どうしても思い出せない
「うーん……すみません……」
知ったかぶって話を合わせようかとも思ったが、
結局頭を下げた自分に、男性はうなだれながら去っていった


その男性と再会したのは3ヶ月後
仕事の件で、向こうは□□さんという上司と一緒で、
自分は上司の◇◇と一緒で、△△という場所での話だった


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