引用元:おーぷん2ちゃんねる百物語2015 本スレ

118: 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo 2015/02/15(日)01:24:07 ID:mJS
仕事を終えて、仲の良い同僚と連れ立って駐車場に向かう
「お疲れ様ー」「また明日ね」
互いに手を振って車に乗り込もうとした時、ふと動きを止めた

いつの間に現れたのだろう。
同僚の周りを小さな光る虫のようなものが飛び交っている
少なくとも、一緒に駐車場まで歩いて来る時には気付かなかった
(何だろう……?)
飛蚊症というか。似ていると言えば似ているのだけれど……
何故か猛烈に嫌な予感がして、思わず同僚を呼び止めていた

「あのっ、そういやさ、こないだ言ってた本、もう買った?」
「まだだけど……」
面食らったように答える同僚が怪訝そうに眉をひそめるが、
深く考える暇もなく矢継ぎ早に自分は次の話題を振る
「あ、そういえば、この間もらったお菓子、超おいしかったよ!あれ、どこで買ったの?」
「袋に書いてあったと思うけど……」
「あ、そ、そうなんだ。あ、そういえば、スーパーの特売日っていつだっけ」
「今日だよ?」
同僚は家庭持ちのため、『早く帰って夕飯を作りたい』というのが見え隠れしている。
結局5分近く立ち話をした後、
「ごめん、そろそろ帰るね」
と同僚が切り出した
「う、あの、長話してごめん。……でも、気をつけて!気をつけて帰ってね!」
「うん。じゃ、また明日」
駐車場から出る同僚の車を見ながら、何故かそわそわして落ち着かなかった

晩ご飯を食べ終わった頃、同僚から電話が入った
『ちょうど私が通る5分くらい前に事故があって、すごい渋滞に巻き込まれちゃった』
いつもは20分の道のりが、1時間近くかかったという
ごめんね、と謝って電話を切った

結局、あの光る虫が何だったのかは解らない
あれ以降、同僚の周りでも見ていない


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